BLゲーム 神学校-Noli me tangere- 感想5 オーガスト神父ルート ネタバレ
神学校、オーガストルート終了。
主人公の学校で、ラテン語の授業を受け持つ神父様。歳も若く、気さくで明るい性格。冗談を言ったり多少の規則違反も大目に見てくれるので、生徒から人気がある。
公式の紹介文が、だいたいこんな感じ。
初めてこのゲームやる時「この人は学園ものでよくある、先生的なポジションなんだ」と思ってました。
他の相手がみんな生徒なので、大人の恋愛はこの神父様が担当するんだねー、と思って始めたんですがね…。
これはとんでもない大人でした。
この先はネタバレなので、たたみます。
かなり長いです。
先にオーガスト神父の正体をお伝えします。
彼が黒幕ルシフェルでした。
1人目を攻略すると、ルシフェルの正体はわかっちゃうんだけどね。どのルートでもマイケルに殺されることを望むが、叶わず自殺している。
とにかくマイケルに固執してて、この人の目的って一体なんなんだろうとずっと思ってました。ようやくこのルートで謎が明かされます。
その謎の前に、オーガストルート。これでもかというくらいのエロが豊富なルートだった。今までの3人がアッサリだから、そっちの方は軽めな作品かと思ってたんですよ。
BADエンドに至っては、オーガスト…というより、ルシフェルを崇拝していた『赤蛇の土』のメンバー、アベルも含めた3Pシーンもあり。
神学校エロは全く期待してなかったので、大変驚きました!
👇この子がアベル。顔はカワイイが中身はガッツリ小悪魔。
結果的にオーガスト神父が『悪魔』ということになるんだろうけど、マイケルへのアプローチがホントえげつない!
まさに悪魔そのものだった。
家族を失ったマイケルに対して、周りの友人たちは心配して何度も声を掛けるんですよ。 でも今の彼には、その気遣いが重い。
何度か湖で遭遇するオーガストは、そんなマイケルの気持ちを察して、神父でありながらも彼に理解を示します。
「ひとりでいたいならそれもいいんじゃない?無理をすることはない」
無理強いせず、今の彼を受け入れてくれる言葉を与えるワケですよ。ここだけ聞いてればオーガストめっちゃいい人やん!ってなるんだろうけど。
これ、すべて作戦ですから!
アベルがマイケルを湖に落とし、それをオーガストが助けるという芝居を打って、すっかり騙されるマイケル。
救出後のボート小屋でオーガストから同性愛的な行為を受け、このときの快楽を忘れられなくなってしまうのです。
一方、オーガストはそうなることをわかっていて、冷たくしてみたり優しく接してみたり…。
そしてようこそ肉欲の世界へ。
自分はダメな人間だから、マイケルの望むような愛を与えてはあげられないけど、快楽なら与えてあげることができる。
「肉の愛じゃダメかい?…私が欲しくはない?」
うわー!これ、完全に悪魔の誘惑やん!!
あげく、礼拝堂のキリスト像がありありと見える場所で同性愛の行為に及びます。というか、もうオーガストには逆らえなくなっていた。
家族が亡くなったことで神への信仰をやめたマイケルですが、何度も神に向かって「見ないで、許して」と懇願する姿が辛くて見ていられなかった。
しかし直前までこの罪から逃れる選択肢もあったにもかかわらず、オーガストに快楽を望んだのは他ならぬマイケル自身なのである。
あえて相手に引き返せるような選択肢を与え、少しずつ蝕んでいくようなやり方が本当に悪魔らしい。まさに堕ちるという言葉がぴったりのシーンだった。
確かこのゲームのテーマは『背徳』
ここのルートが1番テーマ性が強かったですね。
ちょっとここで、オーガスト神父の人物像と過去について。
彼はこのゲームに登場するラザラス神父(右側)と同級生。元々この学校の生徒で、その後牧師になっている。
そして戦場で命を落とす兵士に祈りを捧げるため。敵味方関係なく救いは必要だからという理由で従軍しています。
ところが兵営で被弾し、そこへやってきた敵軍兵士から頭に銃弾を受けます。深い傷を負ったものの一命は取り留め、視界の先には壊れた十字架が…。
敵兵へ向け、この十字架で何度も繰り返し刺して殺害。オーガスト神父は、このとき自分の中に悪魔の種子が存在していることを認識します。
その後体は動くようになったが、なぜか年を取らない体になってしまっていた。
医師からは「頭に受けた傷が原因ではないか?」と言われたが、未だ頭部に銃弾が残ったまま。場所が場所だけに迂闊に摘出できないということだった。
始めは神学校にいたが、周りが老いない体を怪しく思い一度は市井の教会に下る。しかしそこでも同じように怪しまれ、またこの神学校に戻ってきていたのであった。
どこにいても居場所がなく、ついには暇つぶしと称して他人の人生を弄ぶような行為を続け、たくさんの人を死へ追いやってきたそうです。
確かに突然ふざけてみたり、どこまでが本当で嘘なのかわかりにくい神父様ではあったなーと。
当時マイケルの父ダニエルが秘密結社へ入った時、リーダーであるルシフェル(オーガスト)は彼に「愛する者を手にかけ殺す」予言を与えています。
というか、この予言が発動する条件としては、ダニエルが自身で3つの予言を上げ、これらが全て叶うこと。
その中の3つ目は「自分の息子が監督生になる」というものだった。後にオーガストから聞かされる話ですが、これが本当にひどい。
マイケルが父のために努力した結果こそが、家族の死に繋がっていたという事実。
マイケルも父と同じ予言をもらっているんだけど、オーガストはマイケルに自分のことを愛してもらい、予言通り殺してもらうつもりでいたようです。
でもアベルと一緒にからかわれていたと知ったマイケルは、徐々に冷静になりオーガストへの想いはほとんどなくなっていきます。
オーガストがなぜここまでマイケルに拘り、自らを裁けと訴えるのか。それは10年前まで遡ることに…。
実は彼ら、10年前に会っている。
まだ幼かったマイケルに「おじさんは悪魔なんだ。これ以上悪い人間になるようなら、天使である君が私を倒してくれないか?」と頼み込んでいました。
大天使ミカエルと同じ日に生まれ、同じ名前を持つ双子の子。彼こそが天使の生まれ変わりであり、老いることのない孤独な地獄を終わらせる唯一の光だと見ていたのでしょうか。
この天使に殺されることだけを願って、10年もの間ずっと待ち続けていたのです。
そう思うと、最初に湖で話した「前はこうじゃなかったけど、時々無性に1人でいたくなるときがある」とか、嘘っぽいセリフだった「君のことは本当に愛しているんだ」も。
これ全部本当のことだったんじゃないのかな…って思えてくる。
その後マイケルはオーガスト神父からひどく陵辱され、記憶障害を起こします。療養を理由に学校を去ることになり、後見人であるおじさんのもとへ帰ることとなった。
その日を翌日に控えた夜、オーガストが最後に2人で話をしたいと部屋からマイケルを連れ出します。
10年前にした約束を果たして欲しいということなんでしょうが、「僕は天使じゃない、だから貴方を殺せない」とマイケルは断ります。
自殺もできず(一応聖職者だから)、マイケルに殺してもらうこともできず。ならば「1人で逝くにはあまりにも寂しすぎるから一緒に逝ってくれないか」と懇願するオーガスト。
このへんのシーンは、なんだかとてもやるせない気分でしたね。オーガストが初めて人間らしいと感じた瞬間でもありました。
彼が神に絶望し悪魔と化していたにも関わらず、信仰心を捨てきれずに葛藤している姿を見て、マイケルは自分も全く同じであったと気づくんですよね。
一緒に道連れになることを受け入れ毒入りのワインを飲むのですが、決して同情や愛情からきた選択ではないというのがわかります。
まさに慈悲深い大天使ミカエルのような…とでも言うのでしょうか。
もちろん彼は天使ではありません。天使でないのなら裁くことはできない。では人として何ができるのか。
オーガストがしてきたことはとても許される行為ではないけれど、道連れになることを断って置いていくこともできなかった。
「あなたの罪を共に背負うためにきた」
これがマイケルの結論です。これ以上この人を孤独にしてはいけないと感じたのかな。
そして目が覚めたら病室だった。
マイケル…生きてた。そこにはラザラス神父がいて、なぜ自分が助かったのか、オーガストはどうなったのかを教えてくれた。
助かった理由としては、ワインの中に入っていた毒が少なかった。そもそもオーガストが飲んだ毒の量と、かなりの差があったようです。
ワインに毒を入れたのはオーガスト。一緒に逝ってくれと頼んだくせに、マイケルを道連れにすることに躊躇いが出たのだろうか…。
そして彼は死んだ。
まずこの言葉を聞いて、真っ先に思ったこと。
…よかった。
そうか、やっと死ぬことができたのか。彼の悲願が叶ったようで、ホッとしたとでも言うんでしょうかね。
私BLゲームのGOODエンドで、お相手が死んでしまって「よかった」なんて思うのは初めてです。
そしたらマイケルも同じこと思ってて、「あぁ、やっぱり」ってなったわ。
その何年か後、マイケルは牧師となった。そこへ突然ラザラス神父がやってきて、「オーガスト、実は生きている。でももう先は短い。早ければ数日のうちにも…」と告げられました。
えっ、生きてたの?
嘘をついたのは、ラザラス神父なりの配慮だったようですが…。
ラザラス神父は既に心がなくなっていると言ってましたが、そこには言葉を発するでもなく、ただ息をしているだけの痩せたオーガストがいました。
ここでオーガストから受けた様々な苦しみが回想されますが、最後は彼を許すことにしたマイケル。
結局死ぬことはできず、ここまで生きてきたことこそが贖罪となっているからという理由でした。
ラストはマイケルが彼のために祈りを捧げる。
どうか天の門の開かれんことを
貴方に主のご加護とお導きのあらんことを
これがオーガストのGOODエンドとなるのですが、もちろん他のキャラのように共に過ごして幸せになるようなエンドではない。
私としてはオーガストが救われるエンド、イコール彼自身が望んだ「マイケルに裁かれて死ぬってこと」なのかと思ってたけど、それだとBADエンド行きとなってしまう。
10年前2人が会った時、「悪魔の私を倒してくれ」の後に実は続きがあったんですよ。
「おじさんは悪魔じゃないよ。僕が牧師になったら、おじさんから悪魔を引き離してあげる」っていうシーン。
牧師の格好してるのに悪魔ってことはないだろってことなのか、それともマイケルには彼が悪魔ではないとわかって言っていたのか。
恐らく2人で毒入りワイン飲んで、マイケルがオーガストを裁かないと決めた時、オーガストから悪魔はいなくなっているんじゃないかと思うのです。
医者からも見離され、周りからも疎まれていた中、マイケルだけが明確な約束をしてオーガストを人間として受け入れています。
彼が人として最期を迎えることができるのは、マイケルが彼を許し、祈ってくれたこと。これって、あの約束が果たされたってことになるんじゃないだろうか。
人の望みは感情に左右されるけど、神が望む思いとは『本来あるべき姿』であって、かけ離れていて当然だったんだなーと。
だからマイケルに裁かれて死ぬことは、本当の意味でオーガストにとって救いとはならなかったってことなんだよね?生きて悔い改めよっ!てなった結果があのエンドだったのかな。
というのが、私の解釈です。
それとニールルートでラザラス神父が「自分も同性を好きになったことあるよ」って教えてくれるんですが、多分この相手はオーガスト神父だよね。
神学校での様子を見る限り、恐らくラザラス神父の中だけで終わっているのだと思いますが…。
オーガストルート、すごかった。BLゲームで、ここまで道徳観について深く考えたことはないよ。感想もかなりのボリュームになってしまった。
次はいよいよラスト。
お相手は双子のガビィ。
オーガストルートで、10年前に会った記憶を教えてくれたのはガビィでした。
彼の名はガブリエル。この名前から考えると、彼の役割はメッセンジャーとなるのだろうか。
彼が登場するシーンは、大事なことを思い出すきっかけとなる時や、行動の選択をしなければいけない時が多かった気がするんだけど…。
それとやはり「ガビィは実在はしてない?」という疑問。
オーガスト神父からは「二人とも、またね」とか「やあ、お二人さん」など、ガビィが存在していることがわかるセリフがあったんですよねー。
悪魔だから見えたの?
けど、レオニードとニールからはそれがなかった。セシルは、ガビィを知っているって感じのセリフはあったな。
それではフルコンプまで頑張ります。
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